プレスリリース    2005/5.13
フィリピン日系人に関する研究報告会が開催されました
 2004年度東京財団委託研究としてPNLSC代表弁護士、河合弘之がまとめた「フィリピン日系人の法的・社会的向上に向けた政策のあり方に関する研究」の報告会が、5月12日、日本財団ビルにて行われました。会場には、PNLSC会員のみならず、国会議員、弁護士、外務省・厚労省職員、企業関係者、マスコミ、フィリピン研究者、学生など様々な分野から約50人が集まり、熱気に満ちた報告会となりました。

 PNLSC河合弘之代表からの報告は、比日系人の歴史にはじまり、過去外務省により行われた調査と今までの日本の政策・支援を俯瞰し、現在の身元判明状況や具体的な調査方法、比日系人の法的地位と問題点、日本の労働力市場に触れ、今後の課題と政策への提言で締めくくりました。
  コメンテーターには、ドミニカ移民問題に詳しい嶋田久夫弁護士と、JFCを支えるネットワーク事務局長の伊藤里枝子氏をむかえ、それぞれの問題と共通する部分や、本研究に関する感想などを述べていただきました。
 質疑応答は、限られた時間の中、活発に意見が交わされました。「戦争の犠牲者はフィリピン日系人だけではない」「出稼ぎを助長してよいのか」などの質問に対し、河合代表は「われわれは、戦争責任ではなく戦後の日本国家の義務を問うている。国家の基本的義務である国民の保護と、祖国に帰る権利を守る、ということを、フィリピン日系人に対して日本国家は怠ってきた」と説明し、「大切なのは、彼らに選択肢を与えることではないか」と主張。そして「官民が一致し、早期解決を図りたい。政府には各省庁にまたがる対策チームをつくることを要望する」と提言し、結びとなりました。


  最後にPNLSCスタッフが、フィリピン各地での現地調査の様子を、画像を交えて紹介。終了時刻を過ぎても、参加者たちは熱心にプロジェクターに見入っており、この問題に対する関心の高さがうかがえました。
この件に関する取材・問い合わせは
フィリピン日系人リーガルサポートセンター事務局 石井・松本までお願いします。