2010年も、PNLSCスタッフは交代でフィリピンに出張、高齢の残留2世と対面してライフヒストリーの聞き取り、証拠収集のためフィリピン人スタッフとともにフィリピンの役場や教会担当者と交渉し、頭を悩ましながら、フィリピン各地(バギオ、ダバオ、セブ、カガヤンデオロ、イリガン、コタバトなどなど)を駆け回りました。
 現地の日系人会のプロジェクト担当者(日系人ないしフィリピン人)も、日系人会から疎遠になって連絡がつかなくなっていた日系人をフィールド調査で探しあて、家庭訪問し、プロジェクトの説明をし、調査票をとる、といった大変な仕事に取り組みました。
 これらの調査の成果はすべて、「フィリピン残留日本人2世名簿」作成につながっています。日系人会の粘り強い調査とこれまでの蓄積、PNLSCの保有する資料とこれまでの調査実績を背景として、「この人は確かに日系人である」という名簿を作成し、日比両政府の承認を得られれば、難航している家裁で係属中の就籍ケースにも有力な証拠となります。今年はその調査(名簿作成に向けた本格調査)元年であったと同時に、孤児名簿作成のプロセス決定に向けた最終調整の年でもありました。幸い、各方面からのご協力や助言を得て、フィリピン外務省との協議が進み、名簿作成にむけた調査とともに、その認証プロセスにも道筋がつきました。むろん、信頼のおける残留者名簿であるためには、その作成プロセスが重要であることは明らかです。そこで、外部有識者の専門知識も取り入れ、政府からの承認を得る上での諮問機関として「フィリピン残留日本人2世名簿作成有識者会議」を設置することも決まりました。


 第一回有識者会議は12月7日、日本財団ビルで開催され、委員10名中9名の委員が出席されました。今後、来年に2回の会議を開き、名簿の記載内容や形式について協議・提言をしていきます。 有識者会議での提言を元に作成した名簿は、就籍申立て中の2世のより強い証拠として活用されるだけでなく、今後のフィリピン残留日本人2世救済策の策定や、フィリピンの日系人会の会員登録、管理の推進(全国日系人調査の推進)にも共有される予定です。

この件に関する問い合わせ先 
特定非営利活動法人 フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)
〒160-0004 新宿区四谷1-21 戸田ビル4階
Tel 03-3355-8861 Fax 03-3355-8862  E-mail info@pnlsc.com
URL http://www.pnlsc.com