日本国籍を回復した残留者への罰金免除 ーフィリピン法務省が指針示す

2023年7月5日、フィリピン共和国司法省は「フィリピン日系人に関するガイドライン」と題した入国管理局通達を発行しました。この通達には、
フィリピン日系人であることを確認する大使館発行の証明書、日本旅券または渡航書類のコピーなどを入国管理局に提出することで、残留していた日系人がフィリピン旅券を持たずに出国する際に課せられる罰金や手数料は猶予される ことが明記されています。

これまで、日本国籍を回復した日系人が、日本旅券を取得しフィリピンを出国しようとする際、「不法滞在」として多額の罰金を請求されるケースが相次いでいました。日本国籍を回復したことに伴い、出生の時から現在までの長期にわたる不法滞在とみなされることになるため、多い人で500万円もの罰金を請求されることもあり、日本国籍の回復後に日本を訪れたいと願う残留2世にとって大きな障壁となっていました。

PNLSCは2005年、そして2014年と、日本国籍を回復後の2世の一時帰国を支援をする中でこの問題に直面し、かねてから日本政府に、この問題の解決への協力(フィリピン政府との交渉)をお願いしてきました。日本政府とフィリピン司法省の粘り強い対話と協議の積み重ねの結果、今般、上記の条件が整えば、罰金の支払いを猶予する、つまり実質的に罰金を免除するという方針をフィリピン法務省が示したことで、積年の課題であった罰金問題が決着しました。

2017年に就籍が許可され、父の国であり子どもたち(3世)が暮らす日本への渡航を希望していたミンダナオ島在住の小山マルガリタヒロコさん(82歳)は、この罰金問題に対する懸念から、一時は日本への渡航をあきらめていました。今般フィリピン司法省のガイドラインが出たことで、同ガイドラインに沿った手続きを踏んで父の国に渡航する第一号となります(9月6日渡航予定)。ともにフィリピン政府に残留日本人2世の立場を粘り強く説明し続けてくれた日本政府、そしてフィリピン政府の人道的配慮に心から感謝するとともに、残留日本人たちの国籍回復後の懸念を払しょくする、この明るいニュースを歓迎いたします。

在マニラ日本大使館8月14日付プレスリリースもこちらからご覧ください

 

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