PNLSC発足20周年のご挨拶

PNLSCは2023年11月で設立20年を迎えました。
これまで活動を支えてくださった支援者、会員、助成団体の皆さまに、厚く御礼申し上げます。

フィリピン全土の残留2世の国籍問題の解決をミッションとして、2003年11月にPNLSCは誕生しました。
「戦前の平和で豊かだった日本人移民社会をたたきつぶしたのは日本軍なのだから、日本人はフィリピン日系人のアイデンティティ回復、日系社会の再構築に責任がある(特に国籍問題の解決には日本からの法的支援が不可欠)」というのが創立者で代表理事の河合弘之弁護士の思いでした。背景には、身元(父親の戸籍)が判明しない2世が日本人と認められないのはおかしい、中国残留孤児で試みられている、家庭裁判所への就籍許可申立ての方法を身元未判明のフィリピン残留2世にも適用してほしい、という現地の日系人会からの強い要望がありました。

フィリピン残留2世に就籍許可の突破口が開かれるまで2年、その後も理不尽な却下を下されることもありましたが、リベンジを重ね、じょじょに道筋ができ、これまでに308人の2世が「就籍許可」により日本国籍を回復しました。また、23 回の集団・個別一時帰国を企画、支援し、そのなかで17件の親族対面を成功させました。これはカウンターパートであるフィリピン日系人会連合会、傘下の日系人会、弁護団、事務局が、知恵と力を合わせて協力して取り組んだ成果です。日本、フィリピン両政府や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からも、多大なお力添えをいただきました。その過程で日系人会スタッフの人材育成支援や経済基盤確立のための小規模起業支援なども実施し、好評を得ています。

他方、国籍回復を望みながら叶う前に亡くなる2世は年々増えています。
また、存命の2世でも、身元判明、日本国籍の取得を望みながらいまだ叶っていない人たちがいます。理由は、日本人の子だという客観的証拠が乏しい、身元捜しの手がかりが少ない、などですが、それは戦争により家族が引き裂かれ、日本とのつながりが絶たれたたためであり、本人に責任はありません。
「官がやらないなら民がやる」とこれまで活動してまいりましたが、民間の力の限界を感じています。わかっているだけで150人あまりの方が無国籍のまま取り残されています。これらの方々全員に、存命のうちに日本国籍を認めるることを、日本政府にお願し、実現させること、これが21年目に入った我々の使命だと思っています。

この20年、フィリピンの日系社会は大きく発展しました。地域差はあるものの、フィリピンのそれぞれの地域に根付き、プレゼンスを増し、優秀な人材が生まれています。また日本国内に目を向ければ、私たちの社会のさまざまなフィールドで日系3世4世たちが頼もしく活躍しており、彼らへの期待は、今後ますます高まるに違いありません。こうして歩みを進める日系社会、その担い手たる両国の日系人会/日系人と手を携え、日比の交流や平和のための活動の促進にともに取り組み、さらなる日比友好に貢献していく所存です。
今後とも、皆さまの温かいご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

今年はフィリピンへの日本人移民120周年という記念すべき年です。フィリピン・ダバオで行われる移民120周年行事とあわせて、PNLSC設立20周年記念祝賀会を行います。ご興味のある方は事務局までお問い合わせください。

◆11月24日 
(ダバオツアー)
カリナンのフィリピン日本移民資料館 訪問 
ミンタルの日本人墓地訪問
◆11月25日 
AM9時~11時半 移民120周年記念公開講座
PM⑹時~20時  移民120周年&PNLSC20周年 祝賀会

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