東京家庭裁判所は、8月5日付で就籍許可を求めてい申立てていた竹井ホセさん(82)に、9月16日、却下の審判を下しました。竹井ホセさんは4月29日に石破首相と面会し、8月6日には日本政府(外務省)によるフィリピン残留2世訪日事業の第1号として来日、異母弟との対面、父の墓参を果たしています。日本国籍が認められることを心待ちにしていました。ホセさんの強い意向を受け、弁護団は9月29日に即時抗告しました。
今後は東京高等裁判所での審理となります。
今回の就籍許可申立事件で注目されたのは、旧国籍法1条「子ハ出生ノ時其父カ日本人ナルトキハ之ヲ日本人トス」の「父」の解釈でした。
これまでの審判では、この条文にいう父を「法律上の父」と限定して解し、父母が婚姻している、あるいは父が子を認知していることを要件としていました。
今回、ホセさんの父が「竹井銀次郎」であることは、異母弟とのDNA鑑定で証明されました。そこで弁護団は上記解釈に挑む申立てをしたのです。
【弁護団の主張】旧国籍法1条を「法律上の父」とのみ解することは、自然的血縁上の子を不合理的に差別し、憲法14条の平等原則に反する。血統主義の趣旨に照らしても、DNAにより血縁を証明できる現状では、法的父子関係の要求は合理性を欠く。旧国籍法4条の生地主義との比較でも、自然的血統を有する子が不利益となるのは不合理である。
【却下審判の問題点】
今回の審判は、これまでの「父」の解釈を「合理的理由のない差別的取扱いとはいえない」として弁護団の主張を退け、旧国籍法1条にいう「父」は「法律上の父を意味すると解される」という従来の解釈を繰り返しただけでなく、「他に、申立人の父が日本人であると認めるに足りる証拠もない」として、DNA鑑定結果を完全に無視したものでした。
今後は高裁にて、こうした問題点や、旧国籍法の「父」を法律上の父に限定する解釈が違憲であることをさらに主張していきます。
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