戦後67年となる今年は、親族との対面のため、また、日本国籍と身元の確認のためのフィリピン残留日本人2世一時帰国を、3回に分けて行うことになりました。
7月に一時帰国をしたのは、セブ市出身の利光カルロスさん。カルロスさんは5歳の頃、戦争が勃発したのをきっかけに、安全のために父母と離れ、母方の祖父母の家に預けられました。両親は戦中に消息不明になり、それ以来祖父母に育てられました。若い頃から父のことを知りたいと、伯母からもらった家族写真をもとに父の身元捜しを続けていました。
今回、PNLSCの調査により父の戸籍が見つかり、また日本にいとこがいることも判明しました。そして、いとことの初対面、また父の生まれ育った土地・大分への訪問が叶うこととなりました。
カルロスさんの帰国実現のためにご支援をいただいた在比日本領事館、日本財団をはじめ、市民の皆様、関係省庁の皆様方に厚く御礼申し上げます。
いとこと抱き合うカルロスさん
7月17日、カルロスさんは無事に成田へ到着しました。
同じ便で到着した、フィリピン入国管理局のダビッド長官とフィリピン外務省アジア太平洋局・カターリャ局長とともに、午後5時30分から日本財団にて記者会見に臨みました。
カルロスさんは「就籍の許可が早く下りてくれることを願う。父もきっと喜んでくれるだろう。」と、日本に来ることが出来た喜びに加え、昨年12月に申し立てた自身の就籍についても語りました。
当所の調査でいとこ(父の弟の子)がいることが判明したカルロスさん。会見の後に、このために東京に駆けつけたいとこ7名と対面しました。
7人が次々にカルロスさんに歩み寄り、抱擁を交わす場面はとても感動的なものでした。
7月18日は、東京家庭裁判所にて裁判官との面接がありました。いとこの皆さんにも出廷いただき、証言をしていただきました。
午後は、ダビッド長官、カターリャ局長なども同行し、外務省、厚労省を表敬訪問しました。PNLSCからは、普段の調査への協力へ感謝の意を述べるとともに、残留日本人問題解決に向けてより一層の支援をお願いしました。また、日比友好議連の石井一議員、石橋通宏議員と面会し、残留日本人の現状と救済の声を伝えました。
石井議員と握手を交わす
19日には、カルロスさんは大分へ移動。一足先に大分へ移動していたいとこに空港で出迎えられ、空港内で再度記者会見を持ちました。少し疲れが見えていた様子のカルロスさんでしたが、「父親の出身地を訪問できて嬉しい」と笑顔を見せました。
利光家の納骨堂の前で
大分で過ごした20日・21日は、カルロスさんの父の法要に参列したり、生家や通った学校など、父に縁のある場所を訪れたりなどしました。法要では、若き父の写真を前に、幼少の頃離れ離れになってしまった父に思いを馳せていました。
ずっと行動をともにしてくれたいとことも、一緒に温泉に入ったり、水族館を訪れたりなどして親睦を深め、お互いにすっかり打ち解けていました。そして次の日、カルロスさんはいとこに見送られながらマニラへ旅立ちました。
この件に関する問い合わせ先
特定非営利活動法人 フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)
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